2014年10月17日金曜日

改めて「育成」について考える ~高校サッカー界で活躍するOBを観て~

名古屋フットボールクラブ創立以来17年間、ジュニアユースの選手に言い続けてきたことがあ

「キャプテンは代表として一人しかいないが、我がチームは全員がキャプテンの意識を持って行動してくれ。」「上手い選手はいくらでもいる。いい選手を目指してくれ。」このようなフレーズを日々繰り返してきた。

今夏のインターハイにおいて、某Jリーグ関係者と某高校の監督から、「今年の愛知県4強リーグは名古屋FCの選手が活躍していますね。他の高校でもけっこうたくさんの選手ががんばっていますね。びっくりしました。」という電話が入った

私は高校サッカーに大いに関心があ。しかしながら、選手には勉強のため観戦に行かせることはあっても、私が愛知県の高校サッカーを見学応援に行くことはほとんどない。どこに行ってもOBや保護者の方がいっぱいで気になってしょうがないし、出場しているOB選手の動きが気になって、純粋に高校サッカーを観戦できないからである

今回の連絡を機にチームスタッフに確認したところ、愛知県で優勝した東邦高校には、名古屋FC及び名古屋FC EAST出身の選手が5名もメンバー入りし、2トップ、ボランチの計3選手が先発出場していた。エースナンバー10番の選手も名古屋FC出身でした。東海学園高校の10番、刈谷高校の11番、中京大中京高校の9番と13番と実に計9名もの選手が4強リーグに出場していたことにな

そこで、愛知県大会に出場していた高校の状況を調べたところ、愛知高校のキャプテンで10番、名経大高蔵高校の10番、旭ヶ丘高校の6番、長久手高校のキャプテンなどなど、かなりの選手が活躍していることが確認できた。今冬の高校選手権愛知県大会も非常に楽しみである

その後、インターハイ全国大会を観てみると、先の東邦高校は初戦敗退したものの0-2のビハインドからの追撃弾をEAST出身選手が、同点弾を名古屋FC出身選手が入れ(PK戦ではずしたのも名古屋FC出身選手ではあるが・・・)、2回戦2-3で敗退した中京大中京高校の2点は名古屋FC出身選手であった。また、奈良育英高校のEAST出身選手は、まだ1年生ながら全国のピッチに立った。さらに名古屋FC出身の2年生であるが、9年ぶりに全国大会に出場した鹿児島実業高校のセンターバックとして、2回戦からほぼフルタイムでの出場を果たしている

他にも、メンバー入りこそしていないものの、名古屋FC及び名古屋FC EAST出身選手が、青森山田高校、市立船橋高校、星稜高校など全国トップクラスの実績がある高校で日々努力している。

このようなチームでの活躍を目指した10番の選手が上手い選手か、良い選手かは私には判断できないが、冒頭で書いた「全員がキャプテンであって欲しい」「良い選手になって欲しい」という私の希望が垣間見えたと勝手に思い込んでい

そういう観点で思い返せば、過去には私の記憶の中においても、県内の中京大中京高校、東邦高校、愛知高校、旭ヶ丘高校、県外においては青森山田高校のキャプテン、市立船橋高校は副キャプテン、大学においても慶応大学、中央大学、中京大学のキャプテンがいた。

一方、最近の高校生、大学生を観察すると、残念なことがたくさんあ。人は一人ではなく、グループ、組織の中で生きてい。サッカーもチームという組織であり、我々も家族という最小のグループの中で生きており、学校や会社という組織に通っていることは紛れもない事実である

このような社会の中で生きていくうえで、最低でも身につけておいて欲しい考え方があ。チーム、いわゆる組織をまとめるのに大切な言動や配慮、そして感謝や思いやり、組織力をアップさせるための原理など、ジュニアユース年代のまだまだ無垢なときに物事の道理や道徳を言い聞かせ、社会性の大切さを説明し、いかに多くの言葉を投げかけてあげるか、どれだけ大事で影響力があるかが、17年間やってきてやっと小さな形となって現れてきた実感がある

昔は(私の中ではついこの間のように感じる10数年前ですが)、「強いチームを作ること」が中心であった。それも大事な目的には違いないが、徐々に「強いチームへチャレンジし、勝ち抜いていくためにはどうすべきか」「チームや組織の中での存在感」「家族や関わってきてくれた人への感謝」など、このような人間的なことを学ぶことの重要さにシフトしてきた感じがする。その中でサッカーという競技をしっかり理解し、強いチームに行っても困ることのない技術、戦術を習得させることのほうが大事と考えるようになってきたことは間違いない

このようなチーム作りは、歳をとってきたと感じてしまうこともあが、年月を重ねながら、たくさんの育成年代を観て、たくさんの経験の中からのから感じるからだと考えるようにする

名古屋FC及び名古屋FC EASTは欲張りなチーム、すなわち少しでも多くの財産を選手に身につけさせ、高校への進路をしっかり考え、ゆくゆくは選手の将来像を考えた指導と共に、指導者と選手という垣根を越えていい相談相手になっていきたいと切に願ってい
 小崎 峰利

2012年3月12日月曜日

日本のサッカー事情と名古屋FCの考え方

現在の日本のサッカーは、2002年日韓ワールドカップを境に急激に発展してきてい。特に思う事は、今から20年前、Jリーグの発足時においては、その時点でのトップレベルの選手を集めて活動している日本フットボールリーグ(JFL)からプロ化したチームでスタートした。そのプロチームに所属する選手は、まさにその時うまい選手の集まりであった

しかし、現在は香川真司、長友佑都、本田圭佑、宮市亮、清武弘嗣など現在海外やJリーグで活躍している選手、またU-15、17、20、23など日本代表クラスで活躍している選手のほとんどが、日本や世界を視野に入れて育てられた選手であるということは間違いのない事実である

まさに世界で戦うことのできる選手を目標とし、サッカーというスポーツを理解させた上で、技術、チーム、生活習慣、マナー、モラル、などなどサッカーを通じて人間的にも成長させていかなければならない

大げさなことを言っていると思われるかもしれないが、このようなロジックで選手と付き合うことで、必ずそのレベルに行く選手が現れることになる。我が名古屋FCも、こういった哲学で選手育成をしている

少しでも早くから前述の環境に身をおくことで、サッカーに取り組む姿勢を確立することができると思ってい。ただエリート教育をするといったわけではない。小学校1年生から3年生(U-6~U-9)いわゆる低学年は,サッカーの楽しさを感じてもらうことが大きな目的である。その中で自ら考えることを覚え、実行するようになれば、年齢が上がるとともに目覚しい成長を遂げることになると思

4年生から6年生(U-10~U-12)においては低学年で身に付けた「自ら行動する」という習慣を、サッカーにおける個人技術、個人戦術の習得に重きをおきながらサッカーに取り組んでいけば、U-15年代でナショナルトレセン、日本代表も現実のこととなるであろう

しかしながら、全ての選手がそこまで成長するかというと必ずしもそうではない。自ら意志を持って、考え行動することを促す環境に選手を置くことによって、早くから自主・自立を確立することができ、努力することによって成長するという自覚ができれば、人間として成長すると思われ

また、学習についても、学校生活においても、家庭生活においても考え方は同様です。良い生活習慣を身に付けることから、サッカーの上達も望めることにな。あらゆる可能性のある選手たちに、サッカーだけではなく、どのような世界に行っても役に立つベースを授けてあげることが大事と考え

そのためには、低年齢からの環境作りを怠ってはいけない。少しでも効率的に吸収させるべく、我々は努力を惜しまない。そのためには、選手とのコミュニケーションを多く取り、サッカーは楽しいと思い、また「達成感」を感じることで、日本流でいえば「もっと頑張ろう」ということになるのではないかと思

名古屋FCは、このような方針運営していきたいと考えている。具体的なことは、グラウンド内外で伝達していくつもりである。これをお読みになったサッカー小僧の保護者の皆様や、愛知県下の指導者の皆様とともに、未来ある子供たちのために、より繊細な指導をすることによって愛知県のサッカー、日本のサッカーを盛り上げていくことが出来ればと思ってい
                小崎 峰利

2012年2月14日火曜日

個人技術・個人戦術

現在U13地区予選が行われ、愛知県大会に入ってい

名古屋地区予選は100強のチームが参加をし、上を目指して熱戦が繰り広げられていた。久しぶりにU13カテゴリーのゲームを数多く見ることがでた。ここから書くことは、あくまで主観ではあが、この地区大会で見聞きしたことに関して、感じたことを少し書きたいと思

ゲームを見る限り、個人技術、個人戦術なるものがまったくといっていいほど教えられていないと思うチームが、数多くあるという現実に愕然とた。ゲームの中での個人の動きや、グループでの動きなど、戦術に関わるコーチングは多く聞き取れた。しかしながら、個のボール扱いのところに関しては、まったくといっていいほど聞くことはなく、選手にも見受けられなかった

そういうチームの選手たちを観察していくと、アップでの止める、蹴る、運ぶの基本的なことはやっているが、あくまでアップの為の運動としか見受けられない。ゲームの中である。意図的な体の向きや姿勢、ボール裁き、足裁きは何もない。現代のサッカーは日進月歩で進んでい。戦術論も進んでいるが、個人技術や個人戦術はもっと進んできてい

サッカーをする上に必要なことを教えられずに成長してしまう選手が、数多くいるであろうことは非常に残念である。Jリーグ発足時の20年ほど前、ボールを奪いに行くとき、「むやみに飛び込むな」「足を出すな」など指導者講習会に行くと、よく言われていたことを思い出す。今大会でもそのような古き時代の考え方をコーチングしている光景を見かけた。「むやみに飛び込むな」というのはまだわかりますが、「足を出すな」はちょっと?と思います。足を出さなければボールを奪えない。いつどうやって奪いに行くか、どちらの足を出すかという技術は必要不可欠である

もっと大事なことは、足裁き、ボール裁きです。どちらの足でボールを止め、どちらの足でボールを運び、どちらの足でボールを裁くか、それとどういったターンが奪われにくいかなどのステップワーク。またボールを奪われたら、どのように体を寄せ、どちらの足を出しボールを奪いに行くか?など個人技術、個人戦術をしっかりと身に付けなければ、身体能力の高い選手が、この年代で尊重されるに決まってい
その身体能力の高い選手が、後のJリーガーや日本代表になっていくには、先に書いた個人技術・個人戦術は当たり前のように習得していなければならない

この年代は、背が高い、低い、足が速い、遅いなど個人差が顕著に出る年代である。ここでしっかりとしたものを身につけさせることが、我々指導者の責務である

愛知県の全体的なレベルは劣っているとは思わない。細かいことをおろそかにしていくチームが多いことと、そのことに気がついていない指導者が多いことが残念でならない。細かいことを指摘されることの無い選手が、かわいそうにさえなってしま

これから訪れるであろう、時間やスペースが少なくなるサッカーでも通用するような、先進的な個人技術、個人戦術を優先的に身につけさせ、それと並行して自分が考え、より良い判断が出来るように指導していくことが出来るチームが増えることを願ってい。あとはしっかりとした考え方を持ち、基本的な社会性を身につけさせることも大事であると考え
小崎 峰利

2012年1月18日水曜日

初蹴り会

名古屋FC2012年の初蹴り会が1月2日に行われた。毎年の事ながら、新年早々それも9時という朝早く、現役選手、OB及びそれぞれの保護者、総勢300名近く集まり、ミニゲームなどで汗を流し、また、おしるこなどを頂き、正月早々とてもなごやかな雰囲気であった

午前中開催ということで寝不足の方もいたと思うしかしながら、懐かしい話やOBや現役選手の楽しそうな顔を見ることができ、私自身も大変楽しい時間を過ごすことができた。現役選手様々なOB、プロ選手、大学サッカーで活躍中の選手、全国区の高校で活躍している選手、ちょっと危なさそうな選手、若いのにもう太り始めた選手などなど、いろいろな雰囲気を持ったOBが来たが、月日のたつのは本当に早いと感じた。
 
今年は名古屋FC出身の選手が所属する高校として、青森山田、清水商業、中京大中京、四日市中央工業、立命館宇治、帝京可児、市立船橋、香川西、高川学園などが全国高校選手権にたくさん出場しており、初蹴り会に出席できなかった選手も多くい。1月9日の高校サッカー選手権の決勝戦にOBである四日市中央工業高の寺尾俊祐、市立船橋高の副キャプテンの鈴木 潤の両名が決勝戦で国立のピッチに立つという、名古屋FCにとってはすばらしいニュースとなった私としてはどちらも応援しなくてはいけない立場なので、複雑な心境ではあったが、両名とも延長戦までフルタイム出場し、精一杯戦ってくれて本当に感動した。また両名とも優秀選手に選ばれた。今後も、このように次のステージで活躍してくれる選手がたくさん出てきてくれることを願ってい

名古屋FCのジュニアユースを立ち上げ14年が経った。世間では相当からあるクラブのように言われていが、まだ14年しか経っていない。その14年の中でクラブユース選手権5回、高円宮杯全日本ユース選手権5回、計10回の全国大会出場、最高位全国3位という実績と、選手個人としては先に書いた高校選手権は全国で相当数の選手が出場し活躍してきた。

また、プロ選手は名古屋FC出身者では、Jリーグに過去3人が在籍し、海外においてはルーマニアの1部リーグで活躍する1期生の瀬戸、それと今年は3期生と5期生の選手が、ベルギーなどの欧州へチャレンジしに行

最近はU23日本代表に選出され、オリンピック日本代表に選ばれている5期生の大岩など個人としても確実に実績を作ってきてい。このような実績は選手個人が努力をしてきたことに他ならないが、我々が上を目指す環境を演出したり、初蹴り会のような歴史と伝統を支えていただいた保護者の皆様がいて初めて成就したものと思ってい

このような会が選手にどのような影響を与えるかは、後々になって見えてくることは間違いない。また、このような会に参加していただいた保護者の皆様の力は本当に大切なものだと思。このことについては感謝に耐えない

また、現在私がうるさく言っているサッカーに取り組む姿勢であったり、あいさつや身だしなみ、マナーやモラル、いろいろな人への感謝の気持ちと表現であったりなどと同じで、大きな意味を持ってくると確信してい。このような考えを持ちながら、今後も愛知県のサッカーを盛り上げていきたいと考えてい
小崎 峰利

2011年10月17日月曜日

クラブユース選手権にて(2009年6月18日作成)

サッカーは11名、ベンチを含むと25名、今のトップチームの選手は、人の影に隠れてしまい責任感の薄い選手が多いのが現状である。みんなが『誰かがやってくれる』『誰かがやっている』というイメージである

印象的だったのが対戦相手のコーナーキックにも関わらず、GKがゴール後ろのボールを拾いに行き相手選手に渡す場面があった。本来ならGKがいち早くポジションを取り、DF陣に指示をするのが仕事である。また、この時にもFPからGKに声もかけず、案の定手痛い失点をした。
 

クラブユース選手権を通じて感じたのは個人の戦術理解力が低いことである。この局面ではワンタッチプレー、この局面ではキープなど、状況判断を必要とされるシーンでのプレーが雑である。ボールを失ってはいけない局面でも平気でボールを失ってしまいことで、自らゲームの流れを壊してしまう場面も多く見られた。
このような事はオンザピッチだけでなく、日ごろの学校生活や家庭生活のオブザピッチの場面でもトレーニングができ。良い判断ができる選手になれるように努力して欲しいものである
我々が上を目指す大きな理由としては、全国区の選手や、チームを目の当りにする機会を得ること、上の大会での零囲気を肌で感じることなどが上げられ


サッカー選手として、一人の人間として一流を目指すための一つの材料である考えてい

予選で敗退したチームは当然ながら東海大会やJヴィレッジの零囲気を感じることができず、どこが勝って、どこが東海大会やJヴィレッジに行くのかなど、負けた後関心が薄れていくチームがほとんどである

我々もこのような感覚にならず、常に上を目指し緊張感を持って今後のトレーニングを行っていこうとスタッフ間でも話し合った
 名古屋FC EAST 橋詰 誠

クラブユース選手権を終えて(2009年5月22日作成)

クラブユース選手権が終わった。いつも終わって考えることは、今年は何をしてきたか?と自問自答をし、それから分析を始める。毎年公式戦への起承転結をイメージさせ、上を目指すことの本当の理由を説明し、その中で個としてまたチームとしてどのようなプロセスを送らせることができたか?

我々は競技サッカーをやっている。その中で我々育成年代に一番大切なスキルという部分を最重要課題にして取り組んでいるが、サッカーという難しいスポーツは、そのスキルやアイデアを駆使し、チームとして相手からゴールを奪い、ゴールを奪われないことに心血を注ぐスポーツである。

個人としてそのスキル、アイデア、状況判断、闘争心、視野の確保などなどバランスよく身に付けていかなくてはならない。また、チームとしてチーム力のアップを計らなくてはならない。そういう観点からみると今回はどうだったのか?今回はチーム力ということを中心に考えてみたい。

我々が上を目指す大きな理由として上へ行けば行くほど高い緊張感の中での戦いができる、ということがあげられる。上(全国、世界)を感じさせ、上を見ることによる意識向上、また目標の明確化などそれを感じさせた上でチーム力をあげる。

本来チームという生き物は、選手それぞれが1の能力を持っていて、11人集まれば最低でも11になる。中にはひとりで2も3もの能力を持っている選手もいる。残念ながら現在のわがチームにはそういう選手はいないが・・・。ただチームというのはおもしろいものでサブメンバーも含め、また保護者の方(いわゆるサポーター)も含め、15にも20にもチーム力はアップする。団体競技の妙はここにあるのだ。
 今回のわがチームは選手個人の常日頃の緊張感が薄く、また上につながる大会への入り方に問題があったと言わざるを得ない。私は今まで数多くの経験をしてきたにもかかわらず、その緊張感を演出し損ねたことに大きな反省がある。

今チームの2年余りの技術力の進歩には非常に満足をしているが、そのスキルをどのように使い、相手が変わる中、どういう対応力を発揮し、辛い、甘いなどの味付けや熱くとか冷静にとかいうさまざまな緊張感を生み出すことができなかった。

選手たちは、ロッカールームの中で悔しいという雰囲気を味わうこともなく、いつ終わったかもわからないくらいあっけなく大会を終えた。改めて育成年代においてバランスよくサッカー競技を教えていくむつかしさを味わった。この反省を新たな引き出しの中に入れ、いつでも出すことができるように準備をすることにしよう。
小崎 峰利